フランスで得た新しい価値観、そんなもの帰国してすぐに失った

フランスと日本は10000kmくらい離れてるし、住んでる人も全く違うけど、結構似ている。

食事は美味しい。友達との距離感。南米人みたいに超オープンってわけでもないけど、来るものは拒まない。でもやっぱ表面的で身内でつるんでることが多い。

しばらく住んでみて、日本で住んでるのと同じような生活をしていた。

 

でも一番違ったのは、仕事とプライベートに関する価値観だ。

日本人は

  •  急な仕事の予定が入ったらプライベートの予定をずらすし、予定をキャンセルされた方にしても理解がある
  •  仕事で成功することがとても重要で、家族や仲間といったものが蔑ろにされがち
  •  自分がいなくなったら業務が回らなくなるし、休みが取れる雰囲気じゃないから取らない
  •  そもそも休んでもやることがないし、有給はまとめて取らない

 

逆にフランス人は

  •  定時にしっかり退社して仲間や家族と過ごすし、急な予定をそもそも拒否する
  •  2-3週間のバカンスを確実に取るから、シーズンは仕事が進まないし、皆それを受け入れている
  •  成功することよりも家族や仲間と時間を過ごすことに重きを置いている
  •  バカンスでお金を使うために倹約するほど、バカンスを楽しみにしている

 

インターンの時の上司だったロシア人はまるまる5週間くらいバカンスに行ってたな。。。

 

フランスで就職しようと思った時、こんな自由な生活はなんて素晴らしいんだろうと思ってた。自分は日本でバリバリ夜遅くまで働いている友達と比べて、相対的に偉くはなれないし、お金も稼げないかもしれない、でも日本の価値観に縛られている人たちに比べて、豊かで実りある人生が過ごせるものだって思ってた。旅行がとても好きだったし、それが自由にできる長期バカンスや、仕事とプライベートのバランスが取れている環境で働けるチャンスはここじゃないと得られない。

 

でも実際は日本に帰ってきてこちらで就職することを選んだ。

理由は、20代でフランス人が過ごすような心地の良い環境で働いてしまったら、グローバルな人材と比べて仕事での成果が低く、30, 40代に入った時に使えない人間になってしまうのではないかという焦りに突き動かされたからだ。

 

日経企業に入社して、望み通り忙しい環境で働けた。コンサルの人から比べれば笑ってしまうかもしれないが、月100時間くらい残業してたしプロジェクトで成果を出すのに大きく貢献していたので、なんとなく成長しているなという感じはあった。それと同時に日に日に、フランスにいた時に持っていた価値観が、もともと哀れに思っていた日本人のそれにどんどん近づいていくのが感じられた。

 

自分は人に影響されやすいというわけではない。度合いというのはもちろん人によってまちまちだと思うけど、多かれ少なかれ周りの影響を受けてしまう。海外に行く前の価値観にすっかり逆戻りしてしまったわけだ。でも変わらないものもある。日本で忙しくても絶対に2週間ほどの長期休暇を年二回は取って旅行するようにしてるし、それを実現するためにもうまくやるスキルがついた。自分ではそんな気はないけどフランス人みたいに自由だねと言われる。

 

文学部の友達が、「ある考え方を一回ひっくり返して、もう一回ひっくり返すと元に戻るけど、完全に同じになるわけじゃない。その時の違いが自分の発見だし、それを見つけるためにわざわざ出来上がったものをひっくり返すんだよ」って言ってたのを思い出す。

 

あの時一歩進んだのに変われなかった、元に戻っちゃったと嘆く人はいっぱいいると思う。もしかしたら一歩進む前と今の違いが明確じゃないかもしれないけど、完全に同じなわけじゃない。その時との違いに目を向けるべきだし、そこで変わったことに、自分のやりたいこと・好きなことの手がかり出てくるんだと思う。

 

話を戻すと、自分がフランスの価値観を手に入れたのに今や日本人色に染まってしまっているけど、言葉が通じない中で旅をして、トラブルにあって現地の人に助けてもらう刺激だけは忘れられてないし、これからもそれをやってくんだと思う。これが自分の本当に好きなことのような気がする。

 

多分自分は自分のことをあんまり理解できてない。もっともっと、今ある自分をひっくり返さなきゃなと思った26の夜。

自分の言葉を発信する

 

もうすぐ27歳になる。この年齢になって思うのが、これまで多くのプレゼンテーションをしたけど、自分の個人的な想いとか感情とか、パーソナルな情報をこれまで全然発信してこなかったなということだ。

 

自分は理系だし、話のストーリーを組み上げてパワポを作り、わかりやすく説明するのは得意だともう。でも、熱量を持った魅力のある人がやってる、人を惹きつける話っていうのはてんでダメだ。

 

この前とかイベントでピッチしてみたけど、ほとんどの人が自分の言ってることに見向きもしてくれなかった。アイデア自体が悪いというのはさておいて、多分聞いている人は全くもって魅力のないまるで大学の講義のようなプレゼンの様に思っていたんじゃないかな。自分がいるフィールドから一歩出ただけで、ここまで魅力がない人になっているという現実を直視した。

 

多分、これは今まで自分の思いをみんなに伝えようとしてこなかったことの弊害だと思ってる。だから自分の思いはいつも無機質だ。

 

だから僕はこのブログを書いて、自分の意見を言葉にする。そして、周りの人が聞いてくれるような言葉を発信する。始めるのが遅いかもしれないけど、これは26歳での最後の挑戦だ。

 

誰でも始めは皆んな初心者。僕は今日、一歩を踏み出す。